お久しぶりです
ずいぶん放置してしまいました。
申し訳ないです。
(というか、このサイト見てくれてる方、いるのかな……)
大学の試験がようやく終わりました。
「僕らは~」も第一部が終わりました。
感慨を味わう余裕もなく、ずっと勉強に追われていました。
ようやく心の余裕が出てきたので、終了した第一部について少し書かせてもらいたいと思います。
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ずいぶん放置してしまいました。
申し訳ないです。
(というか、このサイト見てくれてる方、いるのかな……)
大学の試験がようやく終わりました。
「僕らは~」も第一部が終わりました。
感慨を味わう余裕もなく、ずっと勉強に追われていました。
ようやく心の余裕が出てきたので、終了した第一部について少し書かせてもらいたいと思います。
死ぬな、と耳元でささやく声がした。固い腕が彼女の背中にまわされていた。
――死ぬな、死ぬな。俺を置いていくな。
何を言っているのだろう、と由貴は目を閉じたまま思った。あのぐらいの出血で死ぬわけがない。いったい誰がこんなオーバーに騒ぎ立てているというのか。ばかげた話だった。
「来なさい」
しばらくしてようやく老人が口を開いた。それだけ言うと老人は由貴の反応も待たず、身を返して屋敷を奥に進み始めた。一瞬ぽかんとしたが、廊下の奥に消えようとしている老人の背中を追いかけて、由貴はあわててローファーを脱ぎ捨てて縁側に上った。その頃には老人は廊下の角を曲がりかけていた。
(気持ち悪い)
篁由貴は思わず顔を歪めた。飛び石を無視して大股で庭を渡るため、足元で玉砂利が跳ね飛ばされる。今まで見たこともないほど広い庭だった。慣れない日本庭園の雰囲気に圧倒されて、行けども行けども得体のしれない深みにはまっていくような気がする。夏の陽光を浴びた深い緑が由貴を、そして大きな秘密を飲み込んでいく。
「この家で会うのは久しぶりだな、和毅」
近づいてくる足音に和毅は顔を見る前から笑いかけた。癖の強い彼の顔は、そうするとますますその分厚な唇が横に引き伸ばされて、怪獣のようになる。
九鬼香介は伸び過ぎた枝を払いながら和毅のほうに近づいてきた。
視界を遮る枝をかきわけたところで、和毅は人の気配に気がついた。この広い庭園で池の淵に肩を寄せ合ってふたり水面を覗き込んでいる少年少女に、和毅は見覚えがなかった。小学生ぐらいであろうか。しゃがみこんでいるため正確な身長は測りがたいが、その幼い横顔が中学生であろうとは思われない。制服の形からふたりがそろって有名私立小学校に通っていることが知れた。弔問客の子息令嬢か。
行きの車中、父は息子に言った。普通、『遠物見』にはめったと会えるものじゃない、誰かの口利きがあってもなかなか難しい、そうなると気が向くことを祈るしかない、おまえは幸運だ。
奥の座敷で延々と続いている焼香のにおいが庭にまで及んでいた。陰気な気分にさせるそのにおいから逃れたくて、告別式を抜け出し庭にまで出てきたのに当てが外れて、東村和毅(とうむらかずき)は大きな唇を思い切り曲げて顔をしかめた。浅黒い顔がそうすると少年のように見えた。
障子紙を通して早朝の薄い陽光が香介の手元に伸びていた。庭から飛び立ったらしい鳥のさえずりに、香介はその面をようやく上げる。いつのまに朝になっていたのだろう。
夜と朝の境目に思い当たるところがなかった。一晩起き続けたせいで乾いた瞳をまばたかせた。
瞋には視える未来を選ぶことはできない。それは突風のようにふいに彼を襲い、そして通り過ぎるのをただ耐えることしかできない。そしてある日やはり前触れなく『視えた』未来のうちに、あの繊細な青年の未来が含まれていたのだ。
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